

クラシックカー好きにはたまらない春の祭典、「オートモビルカウンシル2025」が今年も幕張メッセで開催されました。
往年の名車たちが一堂に会し、会場はまさに時代を超えた“走る文化遺産”の博物館。
この記事では、4月11日(金)に現地で見てきた展示車両の中から、印象深かった車(主催者展示ジウジアーロデザイン編)を紹介します。
旧車との静かな時間をどうぞお楽しみください。


【たかまるはFP✕旧車歴29年】
旧車が好きで個人売買で出会ったゴルフ2に28年乗り続けています。ファイナンシャルプランナーを取得したことでコスパを考えて旧車生活を楽しむようになりました。
好きな車を見ているだけで幸せですが、それなりに維持費がかかります。
このブログでは旧車を所有している方、これから乗りたい方のためにコスパ・タイパを考えた記事をお届けしています。
【ありがとう!】:毎日7,800人以上の方が利用するサイトになりました。
今年も会場は幕張メッセ


今年で節目の第10回を迎えた「オートモビルカウンシル2025」。旧車ファンとしてはぜひともプレスタイムの初日に行きたいところ。
さっそく幕張メッセに足を運びました。
伝説のデザイナーが来日


今年の目玉はなんといってもイタリアの名デザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロ氏の来日です。
87歳となった今も現役で活躍されているジウジアーロ氏。そんな彼の訪日を記念して、会場では彼のデザインした名車10台が特別展示されました。
なかでも主催者展示を仲間と懐かしむように見て回るジウジアーロさんの周りには多くの旧車ファンが詰めかけ、その一挙手一投足を観ておりました。
第一線で活躍してきたジウジアーロ氏。80を超えても若々しく見え、広い会場を杖も使わずにさっそうと歩く姿に圧倒されました。
会場で仕事仲間との再会を喜ぶ様子や息子さんも一緒に、デザインした車への回想をしているシーンを垣間見られたのが印象的でした。


Lancia delta BMW M1の後方で回想するジョルジョット・ジウジアーロ氏とファブリツィオ・ジウジアーロ氏


<トークショー 1> 才気あふれる若きデザイナー誕生
2025年4月11日(金)午後1時~2時 センタープラザ
トークショーの一場面「日本を訪れるといつも愛情深く接してくれることに感謝している」と述べるジウジアーロ氏。
平日だとそれほど混まない


平日の11時手前の段階で待ち時間2分ほどチケットを予約していたのでスムーズに入場できました。
会場は大きく分けて、主催者展示と各自動車メーカーの展示、ヘリテージ販売店の3つに分かれています。
初日は金曜日からで混雑するような感じはなく、午後2時、5時ごろになると展示車両付近の人もまばらとなり、ゆっくり観る、撮影する時間が取れました。
それではさっそく展示車両を観ていきましょう。
1. アルファロメオ ジュリア スプリントGT(1963年)


- 若き日のジョルジェット・ジウジアーロがデザイン(当時25歳)
- ヘッドライトを起点としない「寄り目段付き」デザイン
- 従来の自動車デザインから脱却した革新的スタイル
徴兵中に上官の許可を得て、このモデルを仕上げたという。
おヒゲをたくわえたイタリア紳士にも見える前景は可愛らしくも見える。








2. マセラティ メラク(1972年)


- ミドシップV6エンジン搭載
- リアエンドにフライングバットレス採用 → 冷却性能が向上した
- 同時期にV8搭載のボーラもデザイン、デザイン言語は共通だった。
メラクの特徴は、ルーフから後方に伸びる「フライング・バットレス」であり、教会に見られるゴシック建築にも共通するところがとても興味深い。








3. フォルクスワーゲン ゴルフ(1974年)


- 実用車のデザインを一新した直線基調
- フロント先端は緩やかに盛り上げ → 視覚的な沈み込みを防止
- Cピラーの形状は以降の世代にも継承されている。
小型実用車なのに今でもこのデザインが愛されているゴルフ。50年以上がたち、現在8.5世代になってもCピラー形状はジウジアーロデザインが引き継がれている。








4. いすゞ アッソ・ディ・フィオーリ(1979年頃)


- 2+2クーペでウェッジシェイプのプロポーション重視デザイン
- 60年代から続く「アッソ」(エース)シリーズの集大成
- インテリアにはサテライトスイッチなど革新的装備を採用実用車のデザインを一新した直線基調
アッソディピッケ(スペードのエース)、アッソディクアドーリ(ダイヤのエース)に続くイタルデザインの集大成、アッソディフィオーリ(クラブのエース)。
日本車でありながらヨーロッパの雰囲気を醸し出す反面、デジタルな近未来の計器類が特徴。








5. BMW M1(1978年)


- BMW初のミドエンジン・スーパーカー
- ジウジアーロがデザイン、開発はランボルギーニ&ジャンパオロ・ダラーラ
- レース用と市販用を兼ね備えたジャーマン×イタリアンの名作
カラーやエンブレムを考えず、外観だけをみるとフェラーリのようなフォルム。
フロントグリルには定番のBMWキドニーグリルがあるのでBWであることがわかる。
珍しいのはリアエンブレムが2つあるところにも注目してほしいですね。










6. ランチア デルタ(1979年)


- アウディ80のためにデザインした「アッソ・ディ・ピッケ」のモチーフを転用
- 技術的先進性とスポーティーなイメージを再構築
- フィアット傘下に入りつつもブランドイメージを維持した秀作
ジウジアーロデザインのランチア。直線的なフォルムは、いまも古めかし感じないのが不思議です。
FF+5ドアという新たなパッケージが出てきたのもこの頃。










7. フィアット パンダ(1980年)


- ストライキやオイルショックなどの時代背景に対応した経済的コンパクトカー
- シンプルな構造ながらフルフラットシートや移動式灰皿など高い実用性
- 初期型には左右非対称グリル採用
金曜日の初日、ジウジアーロ氏がパンダの近くで多くの時間を過ごしていました。
一見ふつうの実用車にみえるのですが、左右非対称フロントグリルやランチアをモチーフにしたヘッドライト、テールランプなどジウジアーロデザインの共通性を感じ取れるところが好きです。








8. DMC デロリアン(1981年)


- 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシン
- ステンレス無塗装ボディ(ヘアライン仕上げ)
- イタルデザインとロータスの共同開発モデル
たった1車種・2年足らずの生産期間に終わったのがおしい自動車。
何年経っても腐食せず、ステンレスの無塗装というマットな質感は、当時としてはかなり先進的なデザインだったのでは?
写真ではなかなかわかりませんが、近づくとステンレスそのものの質感を見て取れます。










9. アズテック(1988年)


- 運転席と助手席が独立したツインキャノピーデザイン
- 両者はインカムを通して会話する設計
- イタルデザインによる少量生産(50台程度)
- 日本での販売も想定されたが、量産は断念(冷却問題&バブル崩壊)
1988年のトリノショーで発表されたコンセプトカーだったのを限定で生産したところがすごい!
近未来の車のようなデザインでひときわ目をひくのは、ツインキャノピー。よく見るとランチア・ストラトスの風防とよく似ているので、ジウジアーロデザインではないかと思えるところがポイント。
リアフェンダー付近が宇宙船のようにも見えるところも注目したい。












10. バンディーニ・ドーラ(2020年)


- バルケッタ系レーシングカーをオマージュしたEV
- デザインはジウジアーロと息子ファブリツィオによる「GFG Style」
- コロナによりジュネーブショーでの発表が中止 → 実質的に今回が初披露
- ジウジアーロ本人が来日に合わせて出展を決定
同じ距離で車を撮ってきて最後のバンディーニ・ドーラの前に来ると、ずいぶん寄ってしまったなという印象。
同じ距離で全体を捉えられないくらい、全長が長い印象をもちました。
フライングバットレス風のルーフデザインは空気の流れを整えるエアロ効果もありそうです。










まとめ|クラシックカーとデザインの関係を再確認できた1日


今回はジウジアーロデザインの展示車両を紹介しました。往年の名車を見ていくだけで、ジウジアーロさんの「常に新しいデザインに挑戦する」という強い信念を感じることができました。
オートモビルカウンシルは今年も時間を忘れてしまうくらい没頭できました。
写真を撮りすぎると、細かいところまで肉眼で観察する時間が取れないところが課題です。
あっという間に午後になり、トークセッションに参加したりしているとすでに夕方を迎えるという1日でした。
来年は時間配分をもう少し考えて活動しようと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!