缶スプレーの塗装にはどのような失敗例がありますか?失敗したら直せますか?
ゆず肌、サメ肌、白化などがあります。
一度塗料を剥がしてから塗装をやり直します。
缶スプレーで塗装しようかお悩みではありませんか?きれいにマスキングすれば塗装の8割は成功です。しかし、慣れが必要なので始めてのDIYは誰しも不安ですよね。初心者でも失敗例とその対策を知っておけば成功率は高まります。
管理人は旧車歴27年の間、スプレー缶でおよそ10箇所をDIY塗装してきました。屋外塗装なのでゆず肌、サメ肌のような失敗を経験しています。そしてこれまでの失敗はランダムサンダーで剥がし、再塗装することでコツを覚えてきました。板金塗装を依頼するとたしかにきれいに直りますが、補修費用が増えます。
そこで今回は費用を抑えたい初心者の方にスプレー塗装の失敗例と原因、修復方法を具体的に解説していきます。この記事を読めば失敗例を予め理解でき、作業工程をイメージしやすくなります。万が一失敗しても修復方法がわかるので、落ち着いて作業を進められます。DIY塗装を成功させたい方はぜひ最後までお読みください。
旧車が好きで個人売買で出会ったゴルフ2に28年乗り続けています。ファイナンシャルプランナーを取得したことでコスパを考えて旧車生活を楽しむようになりました。
好きな車を見ているだけで幸せですが、それなりに維持費がかかります。
このブログでは旧車を所有している方、これから乗りたい方のためにコスパ・タイパを考えた記事をお届けしています。
管理人が缶スプレー塗装で気をつけていること
管理人は屋外塗装が中心です。
車の塗装は、下地づくり、養生、塗装、乾燥、研磨といった工程で進みます。そのため、時間に余裕がある日程で計画してください。塗装用品の買い出しと作業する日を分けると余裕をもって作業できます。
修復する面積が小さければ、それほど時間はかかりませんが、それでもマスキングは意外と時間がかかるものです。ふだん管理人が塗装で気をつけていること紹介します。
作業場所の確保
塗装をするうえで作業場所の確保はとても大切です。自宅の車庫があれば天候の心配も少ないですし、他のクルマに迷惑がかかりません。
車の塗装は数時間ほどかかるので、長時間作業しても迷惑にならない場所を確保することが大切です。例をあげると河川敷にスペースを見つけることができたら最高です。風の強くない費を選べば換気もよく、人通りも少ないので塗装の場所としておすすめです。
前日から翌日までの天気に注意する
塗装するときは天気予報で前日から翌日までの天気を調べています。塗装をする上でぜったいに避けなければならない天気や時間は次の通りです。
【避けるべき日や時間】 雨、湿気が多い日
雨が近づいている日や湿気の高い日は失敗する確率が極めて高いです。このような日はたとえ3時間ほど隙間時間ができても車のスプレー塗装は避けておきましょう。
【避けるべき日や時間】 風、虫が多い時間帯
風の強い日や虫の多い時期は塗装の乾燥中にピタッと不純物が塗面にくっついてしまいます。管理人は風力3メートル以上の予報があるときは中止しています。同様に夏の夕方は気温も落ち着くのですが、虫が多いので塗装は避けています。
【避けるべき日や時間】 極端な気温の日
気温が15度以下、28度以上になると乾燥する際に乾きが悪すぎたり、シンナーが早く飛びすぎてムラになるのでぜったいに避けてください。塗装した後はボディを乾かすので晴れた日の日中に作業するのが一番です。屋根がない場所でも曇りの日なら塗面もそれほど熱くならないのでよい環境といえます。
年間では、5月〜6月上旬、9月下旬から10月まで塗装に適した季節となります。
そうなるとなかなか都合の良い日が見つからないですね。
ですので、管理人は次のワイパーアーム塗装日は10月下旬と決め、塗料や養生グッズを用意して待ち構えています。
「よし、ここだ!」という日が来たらいっきに養生し、塗装作業を始めましょう。また、塗装して終わりではなく、塗装後2週間程度はできるだけ洗車を控えたり、風雨にさらさないことも忘れないようにしてください。
梅雨や猛暑、積雪の時期に作業できなければ、板金塗装のプロに依頼してもいいかもしれません。
プロに依頼するものは凹みと鉄板までの損傷
傷の状態によってはプロに依頼した方がよい場合があります。
- 凹みがある
- 鉄板まで損傷している
1つめは凹みがある塗装面です。傷の大小に限らず、凹みがある場合はパテによる平滑処理が必要になるので板金処理が必要です。パテを使って塗装面を平らにする板金処理ができないなら、プロに依頼することを検討しましょう。
凹みがあるか見分ける方法は斜めからのチェックです。もし斜めから見てボディに歪みが見られたら凹みの可能性があります。
2つめは鉄板まで傷があるものです。鉄板が損傷してしまうと溶接や防錆処理が必要になります。
板金修理はパーツの取り外し、鉄板を平らにするための力加減を必要とする作業なので、プロの経験と技術力が必要です。
缶スプレー塗装のメリット・デメリット
まず、スプレー塗装の失敗例の前に、DIY塗装のメリットとデメリットおさえておきます。
DIYスプレー塗装2つのメリット
DIYでスプレー塗装するメリットは3つあります。
メリット① 広く補修できる
缶スプレー塗装は、ほかのタッチペン補修と比べて広い範囲に使えるので、大きな傷でも補修が可能です。タッチペンを使った補修もありますが、長く入ってしまった傷をタッチペンで補修しても逆に目立ってしまうおそれがあります。
メリット② 表面がデコボコしない
スプレーで噴射するので塗料を薄く広範囲につけることができます。塗装後には表面が変に盛り上がったりすることなく、滑らかに仕上げることができます。
メリット③ 費用を安くおさえられる
板金塗装に修理に出すと1箇所5万円から10万円ほどの予算が必要になります。それに比べDIYスプレー塗装は材料代だけですんでしまうので時間に融通が効く方はとてもコスパの良い選択となります。
DIYスプレー塗装2つのデメリット
DIY塗装するデメリットは次の2つです。
デメリット① 垂れやすい
スプレー缶は粒子が大きいので、少し液垂れしやすいというデメリットがあります。しかし、吹き付ける量を少しずつ、何回も重ねていけば垂れることはありません。
デメリット② 色むらができやすい
スプレーでの塗装は慣れていないと色むらができやすいというデメリットがあります。目立たない小さなパーツを使って試すとスプレーのコツをつかむことができます。
小さなパーツを用意できない時は空き缶を使って練習してみるのもいいですね。
塗装の修復方法は2つ
塗装に失敗したら塗料を取る以外に方法はありません。塗料が乾く前、乾いた後で修復方法がちがいます。
- 塗料が乾く前
- ボカシ剤を吹き付けて様子を見る
- スプレーシンナーを吹き付け、失敗した塗料をウエスで拭き取る
- 塗料が乾いた後
- パッドにサンドペーパーを巻いて塗面を削る
- ランダムサンダーで一気に削る
乾く前ならシンナーで落とせるんですね。
スタート地点に戻るのはたいへんだけどウエスでしっかり拭くしかないですね。
塗装の失敗には、ゆず肌、鮫肌、白化がある
代表的な失敗としてタレ、ムラのほかに、ゆず肌、鮫肌、白化があります。
塗装に失敗すると、液体コンパウンドで磨いてもきれいにならないのでがっかりです。せっかく始めたDIY塗装。始めからつまづかないためにも、失敗の原因と修復方法を解説していきます。
失敗例① ゆず肌
塗装の失敗例1つめは「ゆず肌」です。ゆず肌とはスプレー塗装した際に塗面が柑橘類のように凹凸になる状態です。塗装面が凹凸になっているのでクリアーを吹いても凹凸が強調されて塗面は平らになりません。
ゆず肌の原因は5つある
ゆず肌をつくってしまう原因は5つあります。
- 缶の圧力不足
- 塗料の温度不足
- スプレー缶と塗面の距離が近すぎる
- 塗面との適切な距離は20cm
- 必要以上の圧力でスプレーする
- 塗面に付着する前に塗料が乾燥してしまう
対策は圧力を上げる、距離感をつかむ
失敗しない対策は2つあります。
- 缶の圧力を上げる
- 距離感をつかむ
対策1【缶の圧力を上げる】
・スプレー缶を常にお湯で温めておく
・特に冬場は気温が15度以下になるので、日光で塗面を温めておくとよい
対策2【距離感をつかむ】
・手のひらを大きく開いた小指と親指の長さが約20cm
・スプレーする前に塗面との距離を確かめるとよい
修復方法 耐水ペーパーで研磨
耐水ペーパーで研磨してからもう一度塗装します。
- 水をかけながら耐水ペーパーで研磨
- 1000番→1500番→2000番の順で研磨する。
- 同じ力で平滑する
- 力をいれるとパッドで凹をつくってしまい、すべて剥がすことになる。
- 時々拭き取って平らになったか確かめる
- もう一度スプレー塗装する
パッドがあると平らな面を作りやすいので楽ですよ。
\ 研磨用パッドもついてます /
\失敗しそうならシンナーを手元に!/
まだ塗面が乾いていなければ、スプレーシンナーを使い、ウエスで塗料を拭き取ることでいち早くやり直すことができます。
乾いてしまったら、耐水ペーパーでタレた部分や凸凹がなくなるまで研磨していきます。しかし、部分的なら耐水ペーパーだけでも問題ありませんが、塗装面が広い場合は時間と労力が必要なのでランダムサンダーで削ってしまった方が楽です。
失敗例② サメ肌
塗装の失敗例2つめはサメ肌です。
サメ肌とは、塗面がサメ皮のおろし板のようにゴツゴツとした小さな凹凸になる状態です。ゆず肌よりも細かい凹凸になります。塗面がサメ皮のように固まっているので、ランダムサンダーで剥がすか耐水ペーパーで長い時間をかけて削ることになります。
サメ肌の原因は3つある
サメ肌をつくってしまう原因は3つあります。
- 缶の圧力不足
- 溶剤が伸びない
- 塗面で広がる前に固まるので凸凹が強まる
- 塗面の温度不足
対策はゆず肌と同じく圧力を上げる、距離感をつかむ
サメ肌の予防策はゆず肌と基本的に同じです。
対策1【缶の圧力を上げる】
・缶を常にお湯で温めておく
・気温が15度以下の時は塗面の温度も低いため、日光で温めておく
対策2【距離感をつかむ】
・手のひらを大きく開いた小指と親指の長さが約20cm
・スプレーする前に塗面との距離を確かめるとよい
修復方法 ランダムサンダーで研磨
硬い膜を作るウレタン塗料だと、耐水ペーパーだけに頼るとかなりの時間と労力がかかります。ランダムサンダーで一律に平らにするのが効率よく作業が進みます。
以下の記事ではランダムサンダーが必要な理由について「缶スプレー塗装 失敗からやり直す方法」で詳しく解説しています。こちらも併せて参考にしてください。
失敗例③ 白化現象
塗装の失敗例3つめは白化現象です。
白化現象とは、スプレーした際に塗面が白くぼやけてしまう現象のことです。
白化の原因は3つある
白化をつくる原因は3つあります。
- 梅雨のような多湿のときに発生する
- 塗膜の表面に空気中の水分が結露して白く濁る
- 特にクリアーを吹くときに見られる
【対策1】湿度80%以上では塗装しない
対策の1つめは湿度80%以上では塗装しないことです。
しかし、天気の良い日に休みを合わせられる方は少ないはずです。せっかくの休みなので天候が悪くても作業したくなってしまいます。ただ、残念なことに湿度80%以上で塗装するとほとんど白化現象になるといっていいでしょう。
【対策2】 Yahoo天気で湿度をチェックする
対策の2つめは天気予報で湿度を細かくチェックすることです。晴れていても湿度が高い時間帯があります。天気予報を活用して前日のどの時間帯が塗装に適切か見ておきましょう。
- Yahoo天気で塗装時間帯の天気、気温、湿度、風速をチェックする
- 湿度表示の温度計があれば、作業場所に移動させてチェックする
6〜8月の期間は晴れの予想でも、早朝に湿度80%を超えることがあるので注意が必要です。午前は養生の時間に使い、午後3時以降に塗装するようにしています。
修復方法 耐水ペーパーで研磨
ラッカー塗装で白化が見られたのであれば、クリアーを吹かず乾燥させ、すべて耐水ペーパーで研磨していきます。透明クリアーで白化が見られたのであれば、乾燥後、1500番→2000番の耐水ペーパーで薄く削っていきます。
どちらの場合も研磨の途中で水分を拭き取り、白化が残っているかどうか確かめることが必要です。しかし、ゆず肌同様ランダムサンダーでいっきにはがしてしまう方が時間が短縮されるので、難なく再塗装に移れます。
まとめ:缶の圧力、塗面との距離、湿度に注意して塗装すれば失敗を防げる
缶スプレー塗装失敗例は次の3つです。代表的な失敗として、ゆず肌、サメ肌、白化があります。対策は以下のとおり。
- ゆず肌
- お湯で温めて缶の圧力を上げること
- 塗面との距離感(20cm)をつかむ
- サメ肌
- お湯で温めて缶の圧力を上げること
- 塗面との距離感(20cm)をつかむ
- 白化
- 湿度80%以上では塗装しない
- Yahoo天気で湿度をチェックする
硬い膜を作るウレタン塗料の場合、耐水ペーパーだけで剥がすと時間と労力がかかります。ランダムサンダーを使えば効率よく塗装の準備まで進められます。
塗装前に用意するものや失敗の対策がわかってきました!
準備さえちゃんとできてれば、思ったよりもきれいに仕上がるので大丈夫ですよ。
以下の記事では塗装の失敗からすばやく立ち直る方法について「缶スプレー塗装 失敗からやり直す方法【初心者必見!】」で解説しています。こちらの記事と併せてぜひ参考にしてください。
この記事がDIYスプレー塗装の成功につながればうれしいです。
最後まで見ていただきありがとうざいました。今日もすばらしい旧車らいふを!
今回作業で使った道具は下記にまとめてあります。よかったら参考にしてください。
\ 乾いてなければスプレーで落とせる /
\ 万能ペーパータオル /
\ 失敗したらランダムサンダー /
\ パッドを変えるとポリッシャーにもなります /
\ パッド付きで細かいところも落とせます/
\ 手袋あればかんぺきです /