
愛車の錆対策でお困りではありませんか?
錆で穴が空いてしまうと、パテで整形、塗装、研磨といった修復に時間がかかります。
錆問題をコスパよく解決するならPOR15を塗るが近道です。
防錆塗料を塗るだけなので手軽に作業できるからです。
ただ、POR15が剥がれてしまうコメントもあるので、本当に塗って大丈夫なのか不安に思うのも事実です。
そこで今回は旧車歴29年の管理人がおよそ10箇所の錆対策の経験をもとに、POR15が本当に剥がれてしまうのかを解説します。

この記事を読むとPOR15を使った補修の流れがわかり、作業工程をイメージしやすくなります。
DIYで錆補修を考えている方はぜひ最後までご覧ください。
\ 錆補修は塗るだけでOK /
- POR15 は正しく施工すれば剥がれない
- POR15の施工手順
- POR15 をゴルフ2の錆に塗ってみた結果

【たかまるはFP✕旧車歴29年】
旧車歴29年、カバー歴16年|VWゴルフ2オーナー|サビ・キズ・故障はできるだけDIYでやっつけるなど、維持費削減も忘れません|FP3級・簿記3級取得|特技:家計管理|コスパよく車を維持するための視点で記事を発信中
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POR15が「剥がれる」と言われる理由

POR15は防錆塗料として評価が高い一方で、ネット上では「すぐ剥がれた」「密着しない」「浮いてきた」という声も見かけます。
実際には塗料そのものよりも「施工の仕方」に問題があるケースがほとんどです。
この章ではPOR15が「剥がれる」と言われる主な理由を3つに分けて解説します。
原因① 下地処理が不十分

POR15の密着力は、錆や汚れの上に塗ったかどうかで大きく変わります。
見た目ではきれいに見えても、微細なゴミや油分が残っていると、そこから浮きや剥がれが発生します。
特に多い失敗は以下の3つです。
- ワイヤーブラシで軽く擦っただけ
- 錆転換剤を使い、化学反応がストップ
- 脱脂を忘れた
原因② 湿度・温度の影響

湿気硬化型の塗料です。
つまり空気中の水分と反応して硬化が進むため、湿度や温度の条件が極端すぎると硬化がうまくいきません。
たとえば以下のような環境では注意が必要です。
- 夏場の直射日光下で、金属が熱くなっている
- 冬場で気温が5℃以下、乾燥が進みすぎている
- 雨天や高湿度の日で、表面に水分が残っている
このような条件では表面だけが先に乾いて内部が未硬化のまま残り、後から「ペリッ」と剥がれてしまいます。
塗装時は気温15〜25℃、湿度50〜70%程度を目安に施工してください。
原因③ 上塗りやプライマーのミス

POR15は塗るだけで防錆性能を発揮しますが、重ね塗りやプライマー相性を誤ると密着不良が起きます。
よくある失敗例は以下の通りです。
- POR15完全硬化した後に重ね塗りをして密着しない
- エポキシ系プライマーと反応して塗膜が浮く
- 重ね塗りのタイミングを間違える
POR15は、「指で触れて少し粘る程度(半硬化状態)」で重ね塗りします。
完全乾燥後に塗る場合は、表面を軽く研磨する必要があります。
失敗する人の共通点3つ

POR15は下準備と手順を守るだけで驚くほど長持ちします。
ここでは失敗しやすい人が陥りやすい3つのポイントを紹介します。
古い錆が残っている
最も多い失敗は古い錆が残ったままで塗ってしまうことです。
例としてワイヤーブラシで軽くこすっただけ、またはサンドペーパーが粗すぎて錆が残ったケースがあります。
結果として塗装後1〜2年で塗膜が端から浮いてきたり、剥がれる原因になります。
脱脂を省いてしまう

金属表面に油分や汚れが残っていると密着力が低下します。
DIY初心者によくあるのは「手が汚れるから軽く拭くだけ」「汚れだけ水で落とした」というケースです。
この状態で塗ると見た目がよくても数ヶ月後に塗膜が浮いてくることがあります。
正しい手順はシリコンオフで油分を落とし、布やペーパーで表面を拭き取ることです。
乾燥時間を守らずに次工程へ進む
POR15は硬化が遅く、塗布後すぐに次の作業をすると密着不良がおこります。
特に失敗しやすいのは、
- 乾燥前に塗装してしまう
- 部品を元に戻すタイミングが早すぎる
といったケースです。
施工後は天候や湿度を確認しながら十分に乾燥させてください。
成功するための下地処理と塗布のコツ

POR15で防錆塗装を成功させるには、下地処理の丁寧さと塗布手順の正確さが決め手です。
補修前の準備

補修する前に3つの準備があります。
- 錆の状態を見る
- 材料、道具を用意する
- マニュアルで手順をイメージする
準備①錆の状態を見る
準備の1つめは「錆の状態を見る」です。
作業に入る前に錆の状況を確認してみましょう。
錆がふくらんでいたり、錆汁が垂れていたりしていませんか?
錆がどこまで進んでいるか確認しておきましょう。
鉄が水や空気に触れ、表面が酸化することで発生する錆を赤錆と言います。
自転車のチェーンに見られるのがこの赤錆です。
一方黒い錆を黒錆といい、黒錆になれば赤錆が入りにくく、黒錆に表面を覆われると、赤錆が内部まで侵食しないという特長があります。(出典:いまさら聞けない!サビの種類あれこれ)

ゴルフ2 左リア 2019年撮影
準備②材料、道具を用意する
準備の2つめは「材料、道具を用意する」です。
必要なものを以下の表にまとめましたので参考にしてください。
| 材料/工具類 | 名称 | 数量 |
|---|---|---|
| 材料 | POR15 クリア 100ml | 1缶 |
| 絵筆 ぺんてるネオセーブル | 1本 | |
| シリコンスプレー | 1缶 | |
| ゴム手袋 | 1枚 | |
| サンドペーパー 600〜800番 | 2枚程度 | |
| マスキングテープ | 1本 | |
| 工具類 | ワイヤーブラシ | 1本 |
| マイナスドライバー | 1本 | |
| ウエス | 2,3枚 |
ゴム手袋の必要性について知りたい方は「やってはいけない5つの注意点」で詳しく解説していますので、こちらの記事と併せて参考にしてください。

準備③手順をイメージする
準備の3つめは「マニュアルで作業手順をイメージする」です。
今回は内張りを外す作業が加わるのでサービスマニュアルで一通り流れをイメージしておきます。
ゴルフ2の修理ではベントレーマニュアルで調べています。
グーグル翻訳でスマホをかざすと日本語に訳してくれるので英語が読めなくても大丈夫です。
20年前に8,000円程度で買えていましたが、すでに廃盤になっているため、中古でもけっこうなお値段になっています。

\ ベントレーは広範囲の車種をカバー /
POR15を密着させるための下地処理手順

錆補修は大きく分けて5つの工程になります。

内張り外し

ベントレーサービスマニュアル「13章 BODY AND INTERIOR 22ページ」によると、内張りの外し方の解説があります(図5-1 フロントドアトリムの全体図。リアドアは同様)。
以下の手順で外していきます。
ガイドピースも外す
パネル横左右2箇所


トリムピース外してからドアハンドルを外す

ハンドルの角度を画像で撮っておく

トリムピース外すとネジが見えます。
ネジを緩めるだけでクランクハンドルが外れます。
脱脂・洗浄
脱脂剤やパーツクリーナーで、油分や汚れを取り除きます。
指で触れた部分は特に油分が付着しやすいので注意してください。
塗装面の盛り上がりの下に錆がひそんでいるのでサンドペーパーで軽く落としていきます。
完全に削るのではなくうっすら残しておくのがコツです。

2019年撮影
POR-15塗布
錆落としが終わったらPOR15の準備に移ります。
POR-15塗布7つの工程になります。

気温・湿度を確認し、15〜25℃、湿度50〜70%が理想です。
塗布は2回以上、薄く均一に塗るのが鉄則。
乾燥を待って2回目を重ねると、剥がれにくい塗膜を作れます。

紙コップ、絵筆、スプーンを用意します。
POR15 を移し替えるときにスプーンを使わないとこのようにフタが開かなくなります。
フタがあかなくなったので、管理人は小瓶に移し替えて保存しています。

蓋に液体がつけないようにするために、縁にテープをクロス貼りする方法もあります。
フタの縁をしっかり拭いたら作業開始です。絵筆で薄く塗っていきます。

錆びているところすべてにPOR15を塗っていきます。
絵筆で薄く塗りましょう。
画像ではだいぶ垂れていますね。
絵筆は毛が抜けにくいものを選んでください。
2回目は4時間後に重ね塗りします。
硬化が始まるのは6時間以降。
新しいパーツはそのあと取り付けます。


乾燥後6時間後、スロットインナースクレパーを取り付けたところです。
完全乾燥までの管理
塗布後すぐに上塗りや部品の組み付けを行わないことが重要です。
半硬化状態で上塗りする場合は、表面が少し粘るくらいのタイミングで行うと密着が良くなります。
完全硬化には1〜2日必要ですが、気温や湿度に応じて調整してください。
乾燥しにくい場合は、扇風機や暖房で風を循環させると安定します。
説明書には「硬化まで6時間程度」と書いてあります。
急がない限り内張りの取り付けは翌日に回したほうが無難です。
ドアの内張り取付は翌日に回します。


出典:Volkswagen GTI, Golf, and Jetta Service Manual: 2010
以下の手順で取り付けていきます。

ドア内張りはクリップに乗せてインナースクレパーに差し込む
- 白いパネル保持クリップが2箇所ついているか確認
- ドア下部左右に1つずつ
- スロットインナースクレパーにはめ込む
- 内張りをクリップに乗せ、そっとはめる
- 固定ネジをしめる
- パネル横2本ずつ
- ロックピンのガイドピースをはめる
- ドアロックピンを回しながらしめる
- ドアハンドルをネジ2本でとめる
- トリムピースつける
- ウインドウクランクハンドルの元の角度元に合わせてとめる
- ドア下部左右に1つずつ
- トリムピースつける

ウインドウクランクの角度をあわせてネジをしめる 2019年撮影
5年後のリアルな結果:POR15は本当に剥がれなかった

POR15を使って錆補修を行ってから5年が経過しました。

結論から言うと、塗膜の剥がれは一切なく、錆の再発もありません。
防錆効果そのものは十分に維持されています。
塗布したのは、雨ざらしの屋外駐車環境にある旧車のフロア下部。
- 塗装直後:半光沢で黒い被膜
- 1年後:表面がややマット化するが状態は維持
- 3年後:ホコリは付着するものの、塗膜の浮き・剥がれなし
- 5年後:軽くブラシでこすっても塗膜は強固なまま。鉄の地肌は見えず、錆の進行も止まっていた
特に水はけの悪いホイールハウスの内側でも、POR15がしっかり密着しており、「剥がれるどころか、鉄板と一体化したような硬さ」になっていました。
一部でわずかに浮きが出た箇所も
唯一、錆落としが不十分だった溶接跡付近でわずかな浮きが発生しました。
この部分は、作業当時に「内部に錆が残っていた」ことを自覚していた箇所です。
やはりPOR15といえども、下地処理の精度が仕上がりを左右すると実感しました。
5年間ノーメンテでも効果が続いた理由
POR15の防錆性能が長期間維持された要因は次の3点です。
- 塗膜が非常に緻密で空気と水を遮断する
- 一度硬化すると酸素を通さず錆の進行を物理的に止める。
- ブラシ塗りでも膜厚が安定しやすい
- DIYでも均一に塗れるため、プロ施工に近い耐久性を再現できた。
- 上塗りとの相性が良い
- 半硬化状態で上塗りしたことで密着が強まり、剥がれを防げた。
POR15のよくある質問
まとめ:POR15は正しく施工すれば剥がれない

SNSなどで「POR15はすぐ剥がれた」との声がありますが、実際には下地処理と施工環境を整えれば、長期間しっかり密着します。
特に、屋外駐車の旧車や下回り補修に使う場合は、「湿気対策」と「脱脂の徹底」が成功のカギです。
- 内張り外し
- 錆の状況確認と錆落とし
- ワイヤーブラシ、ハンマーで錆を落とす
- サンドペーパーで足付け
- 少し錆を残す
- 脱脂
- シリコンオフで脱脂
- POR15塗布
- 必ず手袋を着用
- 容器に使う分だけ移す
- POR−15を刷毛や筆で塗る
- 4時間後に2度目を塗る
- 6時間後に完全硬化
- 内張り取り付け
錆対策を放っておくとパテで整形、研磨、塗装といった大がかりな補修が必要になります。
板金塗装を依頼するときれいに直りますが、出費もかさみます。
錆問題をコスパよく解決する方法は「POR15を塗る」です。
ぜひこの機会に挑戦してみてください。
使用した材料や道具はこちらです。
よかったら参考にしてください。
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次回もカーライフをより豊かにする情報をお届けします。
最後まで見ていただきありがとうざいました。
今日もすばらしい旧車らいふを!





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